誰にも言わずに転職活動
実はそれ、情報源をひとつ捨てています。
「誰にも言わずに転職活動」。実はそれ、情報源をひとつ捨てています。
1973年、社会学者グラノヴェッターが282人の転職を調べると、最も多くの扉を開けていたのは求人広告ではなく「人」。それも親しい人ではなく、たまにしか会わない知人でした。
ところが、この説、実は疑われ続けてきました。
その後の研究では「いや、強いつながりのほうが仕事につながる」という逆の結果も出て、半世紀も水掛け論だったんです。
決着がついたのは2022年。LinkedInが2,000万人を対象に5年がかりの実験を行い、Science誌に発表しました。弱いつながりのほうが、転職を生んでいた。
ただ、結果はもう少し面白いものでした。
最強だったのは「最も弱いつながり」ではなく、「中程度に弱いつながり」。
赤の他人でも親友でもなく、「顔と名前は一致するけど、しばらく話していない人」だったんです。
これは海外だけの話ではありません。厚労省が2025年に公表した調査でも、中途採用を行う企業のうち約半数が、採用経路として「縁故」、つまり人づてを使っています。
求人サイトが全てに見えて、実は半数の会社には、一覧に載らない入口がある。
誤解のないように言うと、求人サイトもエージェントも有効です。問題は、そこから来る情報が「求人」という一種類だけになること。
しばらく話していない知人が運んでくるのは、求人ではありません。
「あの会社、中はけっこう大変らしいよ」、「え、その経験あるなら◯◯業界いけるんじゃない?」。
職場の実態、外から見た自分の値打ち、考えてもみなかった選択肢。検索窓に打ち込めない情報ばかりです。
転職の道が開けるのは、検索の回数が増えたときではなく、届く情報の種類が増えたとき。
だから、こっそり進めるのはやめなくていい。全員に打ち明ける必要はありません。
ただ、一つだけ。
スマホの連絡先から「1年以上話していないけど、顔は浮かぶ人」を3人挙げて、近況を聞いてみてください。
そして話の流れで一言だけ、「最近、今後のことを少し考えてて」と添える。
情報は、何も知らない相手からは来ません。半歩だけ開示した相手から来ます。
その3人が、検索100回より、あなたの次の扉の近くに立っているかもしれません。
求人から集められるものと、人づてにしか届かないもの。
この2つは、別なんですよね。

